発展途上国支援に取り組む企業と業界の特徴とは?転職先の選び方と事例を紹介

国際開発
発展途上国支援に取り組む企業と業界の特徴とは?転職先の選び方と事例を紹介

1. はじめに

発展途上国支援のキャリアは、NGOや政府機関だけに限られず、近年は民間企業もその担い手として重要な役割を果たしています。本記事では、「業界・企業」からアプローチし、具体事例から働き方や企業の姿勢を読み解くことで、キャリア検討に役立つ情報を整理します。

発展途上国支援のキャリアは、NGOや政府機関だけではなく、近年では民間企業でも重要な役割を担うようになっています。本記事では、読者にとって検討しやすい「業界・企業」の切り口で、転職希望者に必要な理解を促す情報を整理しています。

2. ソーシャルビジネス・BOPビジネス

途上国の現地課題解決と収益性の両立を目指すビジネスモデル。現地素材や職人に根ざす形で、商品を通じた関係構築が行われます。現地とのコミュニケーションを重視し、駐在や出張が中心。フィールドでの文化理解と対話スキルが不可欠です。下記は代表的な企業とその活動です。

2.1 株式会社マザーハウス

現地素材と職人技術に基づくバッグやジュエリーなどの企画・製造・販売を通じて「途上国から世界に通用するブランド」を目指す企業。 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」理念のもと、バングラデシュ、ネパール、インドネシアなど6か国で生産を展開し、日本やシンガポール、台湾に店舗を設置しています。修理やリメイクによる循環型商品提供「SOCIAL VINTAGE」も特徴です。

2.2 ユーグレナ株式会社

ミドリムシ(ユーグレナ)のバイオ技術を活かし、 バングラデシュの子どもたちに栄養補助食品を提供する「ユーグレナGENKIプログラム」を実施しているほか、バイオ燃料開発も行い、途上国の健康とエネルギー課題の双方向に取り組んでいます。

2.3 株式会社ボーダレスジャパン

「ソーシャルビジネスしかやらない会社」として、16ヵ国以上で50事業を展開。農業支援や教育格差の是正など、幅広い社会課題に挑戦しています。現地起業や社会起業家支援などに取り組む代表的なプロジェクトとして、JICAとの連携による起業支援プログラム「JICA海外協力隊 起業支援プロジェクト BLUE」があります。これは、JICA海外協力隊の帰国者がスタートアップを目指す際の伴走支援を行うものです。

3. 開発コンサルタント・専門サービス

政府や国際機関の開発援助案件(ODA等)に伴い、インフラ開発や制度設計の専門的支援を行う企業ジャンルです。プロジェクトベースの業務が多く、現地政府や国際機関との調整・交渉力が重要。柔軟な対応力が求められます。なお、BIG4系ファームは国際的な制度設計や官民連携型プロジェクト、独立系コンサルは現場に密着した支援に強みを持つなど、それぞれに特色があります。

※なお、民間企業やコンサルティングファームが担うのは、教育・保健などの直接的な人道支援よりも、インフラや制度構築を通じた「開発」領域が中心です。本記事では、これらも広義の「途上国支援」として紹介しています。

3.1 BIG4系コンサルティングファーム(デロイトトーマツ、EY新日本、あずさ監査法人)

途上国支援の分野においても、グローバルな総合コンサルティングファームであるBIG4は重要な役割を果たしています。気候変動対応、インフラ整備、保健・教育制度設計、ESG・SDGs関連の政策支援案件など、多様なプロジェクトに国際機関や政府から受託して携わっています。特徴としては、 大規模プロジェクトの運営多国間連携による官民協働枠組みの推進 があり、現地の公共機関や民間セクターと共に戦略策定から制度設計、モニタリングまで多層的に関与する機会が魅力です。

3.1.1 Deloitte ― 官民連携と制度改革をリード

国際開発金融や官民連携(PPP)、制度改革に関心がある人に適しています。戦略立案や制度設計など、上流工程に携わりたい人にとって魅力的な環境です。

ー取組例:Redesigning Development Finance Initiative
世界経済フォーラムと協働し、開発金融市場における「ブレンデッド・ファイナンス(公的資金と民間資金の組み合わせ)」の活用を推進。途上国への投資拡大を目的とし、民間資本導入の枠組みづくりに取り組んでいます

3.1.2 EY新日本 ― ESGと気候変動対応を支援

気候変動対応やESG報告制度の整備に関心がある人向きです。新興国市場でのサステナビリティ情報開示やガバナンス体制構築を支援する案件に強みがあります。

ー取組例:Climate Change and Sustainability Services (CCaSS)
新興国を含む各国で、気候変動リスク管理やESG開示に関するアドバイザリーを提供。企業や政府機関が国際基準(CSRDやTCFDなど)に準拠した報告体制を整備する支援を行っています。

3.1.3 あずさ監査法人― 公共財政・教育・保健分野に注力

公共財政、教育、保健分野での途上国支援に関心がある人におすすめです。国際機関との連携を通じて社会基盤を整備するキャリアを積むことができます。

ー取組例:International Development Assistance Services (IDAS)
アフリカや南アジア地域において、教育や保健、公共財政分野の開発支援を展開。世界銀行やUNDPなど国際機関と連携し、公共政策やサービス改善を通じて社会基盤強化を支援しています

3.2 独立系コンサルティングファーム

ここでいう「独立系コンサル」とは、BIG4のような総合系ファームに属さず、開発コンサルティングを主業務として専門的に取り組む企業を指します。JICAや世界銀行の案件を中心に長年の実績を持ち、フィールドに根ざした支援を行う点に特徴があります。現場での調査・実装に関心がある人、専門分野の知見を深めながら国際協力に携わりたい人に向いています。下記は代表的な企業の事例です。

3.2.1 日本工営株式会社

JICAや世界銀行のプロジェクトを受託し、アジア・アフリカで道路、水資源、防災などインフラ案件に幅広く従事するコンサル企業です。コンサル案件を通じ、アジア・アフリカで道路、水資源などインフラ整備に携わっています。代表的な開発プロジェクトとして、「東ティモール国持続可能な天然資源管理能力向上プロジェクト(フェーズ1・フェーズ2)」をJICAの依頼の下、2010〜2021年に実施。これは森林・生態系保全と資源管理の能力強化を目的としたもので、持続可能な環境整備に資する取り組みです。

3.2.2 アイ・シー・ネット株式会社

90か国以上で教育や保健、農業、環境分野などの開発プロジェクトを長年にわたり実行・支援しています。200以上の国・地域を対象に、多様な開発支援を行っている中、具体的な事業区分として次の4つがあります:

・ODAコンサルティング事業(産業開発・教育・農業・ガバナンス支援など)
国際協力研修・グローバル人材育成事業
・ビジネス・インキュベーション
(途上国の起業家・中小企業支援)
グローバルビジネス支援事業(日本企業の新興国進出支援)

これらは開発支援の現場経験を有機的に活用し、途上国支援と国際展開支援を重層的に実現する枠組みです。

3.2.3 WASSHA株式会社

アフリカ未電化地域向けに、ソーラー電力の量り売り(EaaS)を展開する企業です。現地の小規模商店(キオスク)を販売拠点として活用し、USBポート付き装置でランタンやバッテリーをレンタル・充電できる仕組みを提供しています。タンザニア、ウガンダ、モザンビークなどでサービス展開し、2022年時点では5,100店舗以上のキオスクネットワークを構築しています。(※2025年8月時点での最新データは未公開)

4. CSR・サステナビリティ推進型企業

本業に紐づく形で、CSRやサステナビリティ活動を通じて持続的支援を展開する企業群です。 CSR戦略と本業との融合が軸。社内外で調整を行いながら、長期的な社会貢献を計画・実行できます。下記は代表的な企業の例です。

4.1 サラヤ株式会社

衛生・保健関連製品のグローバル事業を通じて、途上国での衛生環境改善に貢献。CSR活動と事業を融合させた支援を展開しています。具体的には下記のような取り組みを実施しています。

100万人の手洗いプロジェクト(Wash a Million Hands!):対象となる衛生製品の売上の1%をUNICEFのウガンダにおける手洗い普及活動に寄付し、学校やコミュニティでの手洗い設備設置・衛生教育を推進しています。

100% Hospital Hand Hygiene プロジェクト:ウガンダに設立した現地法人「Saraya East Africa」を通じて、現地生産のアルコール手指消毒剤を医療機関に供給し、院内感染予防を強化する取り組みです。

SARAYA Safe Motherhood Project:ホワイトリボン運動と連携し、タンザニアでの妊産婦と新生児の安全な出産環境整備(例:母子保健センター“Milky House”の建設など)を支えています。


4.2 パナソニック ホールディングス(Panasonic)

  • 同社は途上国の無電化地域支援をCSR重点テーマの一つに位置付け、地元NPOや国際機関とも連携した支援活動を展開しています。特に、企業の技術力とネットワークを活かした寄付型・支援型の施策が特徴で、幅広い社会課題への意識と実装が見られます。

LIGHT UP THE FUTURE
オフグリッド地域における電力インフラ整備や教育、衛生、所得創出など、長期的な社会課題の解決を目指す取り組みです。NGOや地域団体と連携し、太陽光発電設備や蓄電機器の寄贈、現地コミュニティの自立支援を行っています。

Off‑grid Solutions Project
2018年に創業100周年を記念して開始されたCSR施策で、インドネシア、ミャンマー、ケニアを中心に、太陽光発電・蓄電装置(Power Supply Station、Eneloop Solar Storage)やソーラーランタンを寄贈し、電力教育と現地ビジネスモデル構築を並行して実施しています

4.3 武田薬品工業

グローバルCSRプログラムを通して、途上国・新興国における人々の健康改善や疾病予防を目的としたプログラムを展開しています。具体的には、気候変動による健康リスクに対応するため、低中所得国での保健システム強化、保健人材育成、技術活用による診断支援等に資する活動を支援する包括的CSRプログラムです。社員の投票によるパートナー選定など、社員参加型の仕組みを特徴としています。

5. まとめ──途上国支援に携われる企業を見極める視点

発展途上国支援は、ソーシャルビジネス、開発コンサルタント、CSR・サステナビリティ推進など、多様な業界・企業によって実現されています。それぞれの分野で、事業の成り立ちや支援の方法、現地との関わり方は異なりますが、共通して求められるのは継続性現地との信頼関係、そして透明性です。

転職先を検討する際には、企業理念や活動内容が本業とどのように結びついているのか、現地パートナーや国際機関との連携体制があるのか、長期的な視点で取り組まれているかを確認することが重要です。こうした視点を持つことで、自身のキャリアが社会的な価値創出と結びつき、長く続けられる形での途上国支援につながります。

6. 発展途上国支援のキャリアに関心のある方へ──サスキャリが伴走します

途上国支援に関わる求人は数が多くなく、業界理解と自分の強みの擦り合わせが重要です。「サスキャリ」は、SDGs・サステナビリティ領域専門の転職支援を行っており、情報収集から応募戦略設計まで幅広くサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。

監修

サスキャリ編集部

サスキャリ編集部

サステナビリティ・ESG領域に特化した転職支援サービス「サスキャリ」を運営する編集チームです。業界動向やキャリアに役立つ情報を、専門的な視点からわかりやすく発信しています。

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