SDGsコンサルタントに転職するには?仕事内容・キャリアの展望・必要スキルを徹底解説

SDGsコンサルタントに転職するには?仕事内容・キャリアの展望・必要スキルを徹底解説

目次

1. はじめに ── なぜ今「SDGsコンサル」が注目されているのか

持続可能な社会の実現に向けたSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)は、企業経営の中核課題として改めて注目を集めています。特に2025年は、SDGsの国際達成期限である2030年に向けた折り返し地点にあたる重要な年です。

日本政府は2025年6月に、国際連合へ向けた3回目の「自発的国家レビュー(VNR)」を公表しました。これは、政府・企業・自治体・市民社会など多様なステークホルダーによるSDGs実施状況を包括的に点検・報告するもので、「共創による取組の深化」と「2030年以降の展望を見据えた議論の主導」が明示されています。

さらに2025年7月には、次期「SDGsアクションプラン2025」の策定に向けた準備が進められており、水素・洋上風力・サーキュラーエコノミーといった成長分野への投資強化が検討されています。

こうした政策の背景には、企業によるSDGs実装の加速と、それを支える専門人材の必要性があります。今、企業は単なるCSR活動ではなく、SDGsを経営や事業そのものに取り込み、持続可能な価値創出につなげることを求められており、その実行支援を担う「SDGsコンサルタント」という職種が注目されています。

参照:外務省「日本における持続可能な開発目標(SDGs)実施に関する自発的国家レビュー(VNR)2025」外務省「SDGs達成に向けた分野別取組ー日本政府の取り組み」

2. SDGsコンサルタントとは?定義と役割の整理

SDGsコンサルタントとは、企業や自治体がSDGsを経営や事業に取り込むための計画策定・実行支援・情報開示・社内浸透などを担う専門職です。

ESGコンサルタントやサステナビリティコンサルタントとの違いは、支援の焦点にあります。SDGsコンサルは「SDGs17目標」の具体的活用に注力することが多く、社会課題解決と事業成長の両立という観点を重視します。一方、ESGコンサルは投資家や金融機関を意識したリスク対応や統合開示に重点が置かれる傾向があります。

SDGsコンサルの業務は、企業の成熟度に応じてさまざまありますが、代表的な支援領域は以下のとおりです。

2.1 SDGs導入支援(計画と指標設計)

  • SDGsの全体理解促進(社内研修など)
  • 優先課題(マテリアリティ)の抽出
  • SDGコンパスを活用したゴール設定とKPIの策定
    ※SDGコンパスは、国連グローバル・コンパクトなど3団体が策定した企業向けSDGs実装ガイド

参照:GRI・UNGC・WBCSD「SDG Compass」

2.2 社内浸透と従業員参画の仕組み化

  • ワークショップやカードゲーム型研修による全社理解促進
  • ミドルマネジメント層への個別伴走支援
  • 社内のSDGs推進組織・体制づくり

2.3 開示とステークホルダー対応

  • SDGs目標に基づく統合報告書・サステナビリティレポートの支援
  • GRIスタンダード(Global Reporting Initiativeが策定するサステナビリティ報告の国際基準)やCSRD(企業持続可能性報告指令)対応への助言
  • ステークホルダー・エンゲージメントの設計

2.4 事業創出と社会課題解決の接続

  • SDGs視点による新規事業開発・社会課題解決型ビジネスモデルの立案
  • サプライチェーンや地域連携に基づくCSV(共通価値の創造)支援

3. どんな企業・業界がSDGsコンサルを必要としているか

SDGs支援のニーズは、大手企業にとどまらず、中堅・中小、自治体、地域団体にも広がりを見せています。社会課題と地域特性を両立させる動きが加速しており、2025年現在の政策動向を踏まえると、以下のような領域において専門支援がますます求められています。

3.1 地域循環共生圏の拡大と多様な担い手の参画

環境省は2025年度(令和7年度)に、新たに26団体を「地域循環共生圏づくり支援体制構築事業」の対象として選定しました。この選定は、SDGsの地域実装を加速させるもので、脱炭素・資源循環・地域交通などの多様な分野にわたる取り組みが含まれています。

選定団体には、自治体をはじめ、地域金融機関、エネルギー事業者、観光関連企業、地域商社などが名を連ねており、企業・行政・市民社会が連携した「地域起点でのSDGs推進」の実践が進められています。

参照:環境省「令和7年度地域循環共生圏づくり支援体制構築事業参加団体の選定結果について」

3.2 補助金・専門アドバイザーによる実践支援

環境省は2025年度より、地方自治体向けの「脱炭素まちづくりアドバイザー派遣制度」を本格実施しています。この制度では、脱炭素・再エネ導入・地域資源活用といった課題に対して、専門人材を自治体へ派遣し、計画策定から事業推進までを伴走的に支援しています。

支援は、短期的なスポット派遣だけでなく、数ヶ月単位の伴走型支援も含まれており、制度設計・資金調達・住民合意形成といったプロセス全体にSDGs視点を取り入れる体制が整備されています。こうした制度により、コンサルタントが政策実装の現場に深く関わる機会が広がっています。

参照:環境省「脱炭素まちづくりアドバイザー制度」

3.3 産業別傾向とSDGs連携の加速

環境省が公表した『令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』によれば、2025年度は観光・運輸・エネルギー・情報通信など多様な産業領域において、SDGsと事業戦略を接続する取り組みが本格化しています。特に、地域内のデータセンターにおける再エネ活用や、公共交通インフラの電化・効率化などは、自治体と企業の協働によって推進されています。

こうした分野では、企業単独での対応が難しい制度理解・補助金活用・住民協議といった要素が関係するため、SDGsの専門的な知見を持つ外部コンサルタントによる支援が有効です。産業構造そのものを持続可能な形に変えていく動きの中で、コンサルティングの役割はますます拡大しています。

参照:環境省「令和7年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」

4. 「求められるスキル・経験・資格」

4.1 すべてのSDGsコンサル業務に共通して求められるスキル

4.1.1 論理的思考力と資料作成能力

SDGsの導入支援では、「どの社会課題と向き合うべきか」「自社にとっての優先テーマは何か」といった抽象的な問いを明確に整理し、ステークホルダーと共有できる形に落とし込む力が求められます。そのためには、複雑な課題を構造化し、根拠に基づいた戦略的な提案や報告書を作成する力が不可欠です。マテリアリティ分析やKPI設定、社内説明資料の作成など、あらゆる業務の基礎となるスキルです。

4.1.2 ファシリテーション力・対人折衝スキル

SDGsの実装には、経営層から現場社員、自治体、市民団体まで多様な関係者が関与します。そのため、各ステークホルダーの立場を理解し、対話を通じて意見を引き出し、合意形成へと導く力が重要になります。ワークショップや対話型研修の設計・運営、部門横断的な会議のファシリテーションなどにおいてこの力が発揮されます。

4.1.3 プロジェクトマネジメント力

SDGsコンサルティングでは、マテリアリティ(優先課題)の特定、KPI設計、社内体制構築、外部への情報開示支援など、複数の工程を並行して進める必要があります。各フェーズの進捗管理やタスク分担、関係者との調整を行いながら、全体を統合的に管理する力が求められます。

特に「マテリアリティ策定」とは、企業がどの社会課題を優先的に取り組むべきかを、社会からの要請と自社の事業特性の両面から評価し、戦略として明確化するプロセスです。これはSDGs実装の出発点であり、丁寧かつ的確なマネジメントが成果を左右します。

4.2 業務領域別に求められる知識・資格例

4.2.1 経営統合・指標設計に関する知識

企業のSDGs経営を支援するにあたっては、国際的な情報開示フレームワークへの理解が不可欠です。特に、GRIスタンダード、SDGコンパス、IIRCの統合報告フレームワークなどは、マテリアリティの特定やKPI設計において基準となる考え方です。これらを踏まえたうえで、自社固有の状況に適した指標設計ができることが実務では重視されます。

4.2.2 社内浸透・人材育成に役立つスキル

従業員の理解と主体的な行動を促すには、単なる資料説明ではなく、体験的な学びを重視した研修設計が効果的です。たとえば、「SDGsアウトサイドインカードゲーム」の公認ファシリテーター資格を取得していると、実際の研修やワークショップ設計に応用しやすく、クライアントへの提案の幅が広がります。

4.2.3 情報開示・報告書作成に関する専門知識

上場企業やグローバル企業向けのコンサルティングでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、CSRD(企業持続可能性報告指令)、GRIなどに関する制度理解が問われます。これらのフレームに準拠した情報開示を支援する際には、非財務情報の位置づけや透明性確保の観点から、高度な整理力と制度対応力が求められます。

4.2.4 グローバル案件に対応する語学力

外資系企業や海外子会社との協働を支援するプロジェクトでは、英語力が実務遂行の前提となる場合があります。TOEICであれば800点以上を一つの目安としつつ、実際には英語でのメール対応、報告書作成、会議ファシリテーションができるかが重要です。語学力は、国際認証やサプライチェーン対応の案件でも有利に働きます。

4.2.5 環境・エネルギー分野の支援に活かせる資格

脱炭素や循環経済といったテーマを扱う案件では、環境に関する基礎知識があると実務上の理解が深まります。たとえば、環境社会検定(eco検定)やLCA(ライフサイクルアセスメント)の理解、Scope1〜3の排出量算定の基本が身についていると、カーボンニュートラル支援や再エネ導入支援で信頼を得やすくなります。

4.3 コンサル未経験者でも活かせる経験

なお、必ずしもすべてのSDGsコンサルタントが、コンサルティング業界の出身である必要はありません。たとえば、事業会社のCSR部門での推進経験や、環境・社会課題に関連する新規事業の企画に携わった経験は、SDGs領域での実務理解や現場目線として高く評価されることがあります。

こうした実務経験をベースに、上記の知識やスキルを補完していくことで、コンサル未経験者でもSDGsコンサルタントとして十分にキャリア転換することが可能です。

5. SDGsコンサルタントのキャリアパスと年収水準

一般的なコンサルティングファームでは、キャリアパスはおおむね次のようなステップで構成されています:
アナリスト → コンサルタント → シニアコンサルタント → マネージャー → シニアマネージャー → ディレクター/プリンシパル → パートナー

職位の呼称や役割はファームの種類(外資・日系、戦略系・実行支援系)によって異なる場合がありますが、基本的にはプロジェクト運営・チーム統括・経営戦略への関与といった責任範囲が、職位の上昇とともに広がっていきます。

年収は以下のような目安になります(※日系・外資系で大きく異なります。また、企業によっては変動があります)。

※年収は所属ファーム(外資・日系)、業界経験、専門性、成果報酬の比率などにより大きく異なります。

加えて、一定の経験を積んだ後に、以下のようなキャリアも視野に入ります。

  • 企業のサステナ推進部門への転職(インハウスSDGs担当)

  • 自治体や国際機関との連携プロジェクト参画

  • フリーランスのコンサルタントや講師としての独立


6. SDGsコンサルタントに転職するには?準備と進め方

SDGsコンサルタントを目指すにあたっては、サステナビリティへの関心や知識だけでは不十分です。コンサルタント職としての選考に対応できる準備が求められます。ここでは、SDGs領域のコンサルタントに特化した視点で、転職のための準備・アプローチ方法を整理します。

6.1 自身の経験を「支援できるテーマ」に翻訳する

コンサルティングファームでは、「クライアントの課題をどのように解決に導けるか」という視点で応募者を評価します。そのため、これまでの実務経験を、SDGsに関するどのような支援領域に活かせるかをコンサルタント視点で再定義することが重要です。

たとえば、CSR部門での報告書作成経験があれば、情報開示支援や開示フレームへの対応支援として応用できるかもしれません。あるいは、事業企画で社会課題を扱った経験があれば、マテリアリティ分析やKPI設計の支援に活かせる可能性があります。単なる職務経歴ではなく、「どのようなコンサル支援に展開できるのか」を意識して棚卸しを行いましょう

6.2 コンサル職ならではの選考視点に備える

SDGsコンサルタントであっても、選考の基本はあくまで「コンサルタント職」です。論理的思考力、構造化力、仮説検証力、ドキュメント作成力といった基本スキルに加え、面接では「どのような企業の、どのような課題を支援したいのか」といった志向の明確さとビジネス理解も問われます。

選考対策としては、志望動機を単なる「SDGsへの関心」では終わらせず、「支援対象としたい業界や課題」「貢献できる支援プロセス(例:マテリアリティ分析、社内浸透、報告書作成など)」まで具体化しておくと説得力が増します。

6.3 コンサル未経験者はギャップを補完する準備を

コンサル未経験からの挑戦では、「論理構成力」「資料作成スキル」「顧客折衝スキル」といったコンサル基礎スキルの差分を補完する必要があります。これには以下のような準備が有効です。

  • 社内プロジェクトや横断チームでのファシリテーション経験の整理
  • パワーポイントでの課題整理/提案書作成のトレーニング
  • ロジカルライティング研修やケース面接対策(ファームによっては実施)

また、あわせてSDGsコンサルに特化した学習機会を活用することもおすすめです。SDGsコンパスやGRI、TCFDといった開示フレームに関する無料eラーニングや資料は、理解の基盤を整えるのに役立ちます。

6.4 採用が活発なSDGs系ファーム・企業例

現在、SDGs支援を手がけるコンサルティングファームや事業会社の採用も活発です。

6.4.1 【大手総合系】

  • デロイト トーマツ:ESGアドバイザリー、SDGs連携評価支援など
  • アクセンチュア:共創型SDGs戦略設計、ソーシャルインパクトサービス
  • PwC:マテリアリティ分析、統合報告支援、サーキュラー経済支援

6.4.2 【専門系・中堅系】

  • ネクストプレナーズ:中小企業向けSDGs導入支援
  • Drop:カードゲーム型研修の設計と全社マインドセット支援
  • スリーエーコンサルティング:認証取得・政策対応型支援に強み

6.4.3 【事業会社・地域系】

  • 花王・丸井グループ:社内SDGs推進人材の公募・配置を実施

7. まとめ──社会変革の現場に立つキャリアとして、SDGsコンサルタントを考える

SDGsを経営に組み込み、持続可能な価値を生み出そうとする企業が増えるなか、その変革を支援するSDGsコンサルタントの役割は多様化しています。制度対応、情報開示、組織浸透、新規事業支援など、関与する領域は幅広く、社会と企業の接点をデザインする専門性が求められます。

一方で、そうした支援を担うには、サステナビリティへの関心だけでなく、ビジネスの構造や現場の複雑さを理解する視点も欠かせません。コンサルタントとしてどのような支援に携わりたいのか、自身の経験や強みと照らし合わせながら、具体的なキャリアイメージを描いていくことが出発点となるでしょう。

SDGsコンサルタントという職種は、社会的な意義とプロフェッショナルとしての成長の両面を見据えられるキャリアです。自分の知見やスキルを活かし、企業や社会の変化に伴走したいと考える方にとって、十分に挑戦する価値のあるフィールドといえるでしょう。

8. SDGsコンサルへの一歩を考えている方へ──まずはサスキャリにご相談ください

サステナビリティ領域に特化した転職支援サービス「サスキャリ」では、SDGsやESG、脱炭素などのテーマに関連した求人情報を取り扱っています。SDGsコンサルタント職をはじめとする専門職の理解を深めたい方や、転職活動をどこから始めるべきか迷っている方に向けて、個別のキャリア相談も実施しています。

社会と企業の間に立つ仕事に関心のある方は、ぜひ「サスキャリ」をご活用ください。

監修

サスキャリ編集部

サスキャリ編集部

サステナビリティ・ESG領域に特化した転職支援サービス「サスキャリ」を運営する編集チームです。業界動向やキャリアに役立つ情報を、専門的な視点からわかりやすく発信しています。

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